リチャーリソンのインタビュー(SKY)
今季のプレミアリーグでセンセーショナルな活躍を見せているワトフォードのリチャーリソン選手のインタビュー記事をざっくり訳しました。昨夏にブラジルからやってきた1997年生まれのウィングは、加入当初こそ無名の存在でしたが今ではリーグを代表する若手選手になりました。元記事はこちら。
6カ月前にこのブラジル人がイングランドにやってきたとき、彼は未知の存在に過ぎなかった。それが今ではアレクシス・サンチェスやエデン・アザール、そして同郷のネイマールらと肩を並べてナイキの新製品発表イベントに出席している。このような煌びやかな面々に囲まれていても場違いに見えないところから、リチャーリソンが今季のプレミアリーグでどれほどのインパクトを残しているかが伺える。8月にフルミネンセから1300万ユーロで加入して以来、この20歳はワトフォードにとって希望の光となってきた。左サイドからいくつものゴールとアシストを決めて、リーグで最もエキサイティングな若手選手の一人という評判を作り上げている。
リチャーリソンはほんの3年前にプロ選手になったばかりだが、急速に序列を上げ続けワトフォードのキープレイヤーになった。開幕節のリヴァプール戦で途中出場からチームを引き分けに導いて以来、彼は26試合連続でリーグ戦に先発出場し、そのうちフル出場できなかったのは6試合だけだ。(2018年2月20日時点)
「唯一大変なのは天気だね」リチャーリソンはSKYスポーツに笑いながら語ってくれた。「僕らブラジル人は暖かい日や晴れの日に慣れているから、氷点下の日は大変だ。でも、ほとんどのことは順調に進んでいるよ。寒さにも徐々に慣れてきた」
南米からヨーロッパへの移籍は若手選手にとって難しくなることもあるが、リチャーリソンの場合はこの上なくスムーズに順応できたという。「ここでの生活は最高。エージェントと友達二人と一緒に住んでもらっていて、それがナイスなんだ。チームメイトも練習場でサポートしてくれるし、ピッチ外でも彼らとは本当に良い関係を築けている。適応するのを助けてくれているよ」
エウレリオ・ゴメスはワトフォードでリチャーリソンの面倒を見てくれているし、チェルシーのダビ・ルイスとウィリアンとも仲良くなった。「一緒にディナーに行ったり、彼らの家に招待されたりした。家族とも仲良くさせてもらっているよ」
その中でも、彼がピッチ上で即座にインパクトを残せるようになったのは、途中解任されてしまったマルコ・シウバ監督のおかげだと言う。
リチャーリソンは語る。「彼(マルコ・シウバ)は最初からとてもよくしてくれた。ポルトガル人だったからコミュニケーションも取りやすかった。しっかりと説明してくれたから、僕は適応できたんだ。プレミアリーグで成功するためには、高いレベルのフィジカルと優れたポジション感覚が必要だといつも言っていた。だから、こういうところには毎日ハードに取り組んできたよ」
ハードワークが報われたかどうかは、最近こそ鳴りを潜めているが、ゴールとアシストの合計値でリチャーリソンを上回る選手はワトフォードに存在しないというデータがよく表している。しかし、リチャーリソンはボールを持っていないときでも疲れ知らずだ。ボールを奪おうというタックルにも意欲的だし、スプリントランキングではいつも上位に入る。
彼が持つ勤勉さのレベルは典型的なブラジル人選手らしくないものだが、リチャーリソンはピッチ上では恐れ知らずのアグレッシブな選手だ。そして、感情を表すことに対しても恐れを持っていない。ホームのヴィカレイジ・ロードでチェルシーを4-1で下した試合の後半、彼は新監督のハビ・ガルシアによって交代させられたのだが、そのときにベンチで涙を流したのだ。
「僕はフットボールに人生を捧げてきた。いつだって90分間プレイしたい。それで悲しくなって、泣いてしまったんだ。ただ、僕がイエローカードを貰っていたから交代させたという監督の考えも理解しているよ。ただ、僕が試合に対してどれほどの思いを持っているのかが表れただけさ。僕はチームメイトを助けるためなら、出来ることであればどんなことでもやりたいんだ」
リチャーリソンはマルコ・シウバのおかげでイングランドに来ることができたと思っており、だからこそ彼が解任されたことを悲しく感じている。しかし、彼は現監督のガルシアからも似たような印象を受けているという。ワトフォードはウェストハム相手に監督交代後初めての敗戦を喫したが、チェルシー戦での圧勝劇は3年前にプレミアリーグに昇格して以来最高のパフォーマンスと言ってよさそうだ。
リチャーリソンも「ここまでは凄くうまくいっている」と語る。「彼(ガルシア)はどういう風にプレイしてほしいのかを説明してくれる。僕らはそれをしっかり聞いている。チームのみんなが監督のことを気に入っているし、彼のためにプレイすることに熱くなれる。彼は既にチームを制御し切っているし、彼が選んだ選手は誰であっても勝利のために全力を尽くす意思を持てている」
現在のプレミアリーグのボトムハーフ(順位表の下半分)はタイトだ。9位から18位の間には8ポイントの差しかない。ワトフォードは11位に付けているが、リチャーリソンはさらに上を目指している。13位より上の順位で終えられれば、ワトフォードにとってプレミアリーグで最高の成績になることをリチャーリソンは分かっている。さらに、彼はトップ10に割って入るチャンスすらあり得ると思っている。
[今季の大活躍を受けて、リチャーリソンには既にビッグクラブへの移籍報道も出始めている]
「ワトフォードを出来るだけ高い順位まで持っていきたい。僕らはいくつか良くない試合もしてしまったけど、今は改善してきていると思う。ワトフォードにとって過去最高の順位を狙うような調子になったと言えるんじゃないかな。僕が求めているのは、まさしくそういうところだ」
全く未知の存在からプレミアリーグのスターへ。リチャーリソンの成長物語はまだ始まったばかりだ。